2007-01-01から1年間の記事一覧

今日は志紀島啓さんの「記念日」ではなかったかな。

(ピクチャレスク/承前) バークの審美分析に共感してはいたものの、ジョージ・メーソンによって性格化されたバークの「教条とシステム」を、プライスははっきりと拒絶する。ナイトから見れば、バークもプライスも「感覚印象」を強調し過ぎており、これはま…

(ピクチャレスク/承前) ピクチャレスクは過剰条件への明確な応答である。過剰な刺激によって感覚器官の鋭敏さが失われることは、ある条件が過剰にもたらされれば、緩和や変化が必要とされることを示している。許容量に達する感覚器官はあきらかに小さめのも…

まったく野暮な話ですが、試訳(粗訳)を載せておきます。別のところ(9月18日)でも書いたことですが、「ピクチャレスク」という概念はあまりまともに(少なくとも日本では)理解されているようには見えません。この概念の語用は軽蔑的なニュアンスを込めて使…

Hal Foster “The Return of the Real,” The Return of the Real, The MIT Press, 1997 「あるハイモダニストたちが表象形象を超越しようとし、ある初期ポストモダニストたちが深みのないイメージに悦楽を見出そうとしたなら、ある後期ポストモダニストたちは…

構造家の大野博史さんの杉並永福の集合住宅のオープンハウスにお誘いいただく(建築(意匠)設計は中永勇司+高木昭良)。旗竿敷地であるゆえ、東京都安全条例の「長屋」形式で計画された(たぶん)建物。 バイカーを想定したという建築はシュールな中庭(安…

黒川紀章「ホモ・モーベンス」『黒川紀章著作集1』勉誠出版、2006 過去の人が若いころに書いた文章を読むのは興味深いものです。私自身がちょうど30歳をまわったころ、その半世紀以上前に20歳そこそこの人が書いた文章(北一輝の初期論文)を読んだ時などは…

TOTO・ギャラリー間の迫慶一郎+松原弘典/REALIZE・立脚中国展開世界展オープニングパーティにお誘いいただく。迫さんは外山恒一と同級生だったのか。 [:W180]

ジクムント・フロイト「快原理の彼岸」須藤訓任訳、『フロイト全集17』岩波書店、2006 cultural criticism関係の本を読んでいると”beyond the pleasure principle”という言葉にしばしばお目にかかる。そのまま読み流していてもいいのかもしれないが、これは…

建築家の高橋堅さんの世田谷弦巻町の住宅オープンハウスにお誘いいただく。 一種低層一高地区(たぶん)の不等辺四辺形の旗竿敷地。四軸構成の複雑なプランと白を基調としたシンプルなデザイン。浴室ドアについていたオリジナルドアハンドルがもしかしたら株…

自治体のまちづくり関連のイベントに出席。とりあえず一般的なことのみ。 各自治体にまちづくり課なるものがぼつぼつとでき始めたのは、最近のことだろうと思います。土地区画整理事業や公共建築などの箱物からソフトウェアの視点を取り入れた行政のあり方へ…

ニューヨークのホームレスは面白い。紙コップに50セントを入れてあげると一曲歌ってくれたり、ドアを開けてくれたり。たまに1ドル入れてあげるとまるで救世主かなにかのように感謝され、いい気分にしてくれます。パースは晩年、そのニューヨークのホームレス…

夕方からお打ち合わせ。むかしやっていた設計法では、敷地の与条件を調べ上げ、リクエストと必要プログラムを加味し、まずは10案くらい作ってクライアントさんに見てもらい、それでいけるようなら基本設計をまとめ、実施設計に向かってディテールをつめてい…

撮影日和

雑誌『i-A』の撮影立会いでつくば市K邸へ。このところ、曇りや雨の日が続いていましたが、晩秋の穏やかな日差しに恵まれた一日となりました。ひとえに(皆様の)日ごろの行いのおかげでしょう。 もちろん、曇りや雨の日がもつ独特の光の面白さ(ついでにいえ…

デザイン系レセプション

デザイン系のレセプションにお誘いいただく。 ここでも「地球環境問題」が理解を得やすい主題となっているような印象を持った。唐突だが、人間のものづくりという作業は、古代ギリシアのアリストテレスの四因論(形相因、目的因、作用因、質料因)が大雑把に…

テクトニック(tectonic)の日本語訳について

[:W300] 拙訳書『テクトニック・カルチャー、19-20世紀建築の構法の詩学』ケネス・フランプトン著、TOTO出版、2002、では、ゼンパー/フランプトンの”tectonic”という言葉を「結構(的)」と和訳しています。 ところでそのちょうど一年後に出版された同じ著者…

デザイン書2冊、ファイバー

原研哉 『ポスターを盗んでください』新潮社、1995、『デザインのデザイン』岩波書店、2003 日本のデザイナーの世界には亀倉雄策天皇制という「天皇制」があるという話がむかしあったが、いまはどうなっているのだろう。田中一光なきあと、無印良品のディレ…

黒川紀章没後ほぼ一週目

建築について話すのはこれが最後と語っていた今年8月の森ビルでのレクチャーでは、「イタリア未来派の連中は志願して戦場に赴き、わざわざ弾が飛んでくる方向に向かって突撃し、みんな死んでいきました。天才はやはり早世すべきですね。僕も60歳を過ぎて自分…

二度あることは三度ある

昨日のクレマスターで。少し早くついたのでお店の人とお話していると、建築家の手塚貴晴さんをご存知という。そこで二度あることは三度あるという話になったのであった。 ずいぶんむかし、ロンドンの建築家リチャード・ロジャースの事務所に遊びにいったとき…

ノイトラ、シニフィアンにも着目せよ

Sylvia Lavin, FORM FOLLOWS LIBIDO Architecture and Richard Neutra in a Psychoanalytic Culture, The MIT Press, 2004 新宿ゴールデン街のフジタゼミ@クレマスターで「戦後アメリカの住宅と精神分析文化」と題したギグを行う。といっても実際は上記著作…

京からかみ

千田堅吉 『唐長の「京からかみ」文様』 紫紅社文庫 2003 「からかみ」は「唐紙」ではなくあくまで「からかみ」。日本の「かみ」なのである。「からて」も「唐手」ではなく「空手」と書く。からかみにはおおきく京からかみと江戸からかみの二種類があって、…

ジュリウス・シュルマンの有名な一枚

昨日のTNプローブのサイトのなかを辿っていくと、シルビア・ラビンが来日してノイトラとシュルマンについて語っているのですね(http://www.tnprobe.com/contents/other/lavin.html)。ラビンの FORM FOLLOWS LIBIDO によれば、建築家だったエルンストを通し…

レセプション

TNプローブ企画の展覧会のレセプションにお招きいただく。会場で長尾事務所の長尾亜子さんにお目にかかる。長尾亜子さんと話しているとむかし私が書いた原稿(けっこう力作だったぞ)の原稿料を踏み倒そうとした編集者の話がでてきてワインを吹きそうになる…

1年目検査に行く

つくば市K邸の一年目検査にお邪魔する。一年ぶりに見るK邸、われながらいい住宅だと思うゾ。家具や調度品をはじめとして、上手に住みこなしている建主さんにも脱帽する。 引渡し後、木製サッシが雨で反ったことなど、ほぼ通常の変化。木製サッシで反るものは…

旧竹田邸

あるパーティに参加させていただくため旧竹田邸へ行く。 この建築もそうだが設計者である片山東熊は、ネオルネサンスとかフレンチバロックと呼ばれる様式のものが多い。主室を挟んでアンテルーム(前室)とドローイングルーム(後室)をアンフィラード(enfi…

SUBURBAN NATION

SUBURBAN NATION、The Rise of Sprawl and the Decline of the American Dream, Andres Duany, Elizabeth Plater-Zyberk, and Jeff Speck, North Point Press, New York, 2000 理論的には1960年代に著されたジェイン・ジェイコブスの『アメリカ大都市の死と…

伊東忠太の聖教殿

中山法華経寺の奥の方には伊東忠太設計の聖教殿がある。西洋古典建築のロトンダの上にインド建築のストゥーパを載せた構成である。大雑把に言ってこうした建築様式を、エクレクティシズム(eclecticism/折衷主義)と呼ぶ。19世紀後半における建築を語る大き…

大島健二さんの新作・他

建築家の大島健二さんから「新しい家を造ったので見に来い」というeメールをいただき、市川中山に拝見に行きました。 南東側から見ると、内縁と外縁が内外のグラデーションをなしながらも、開放的な空間となるよう構成されています。これで果たして大丈夫か…