自治体のまちづくり関連のイベントに出席。とりあえず一般的なことのみ。
自治体にまちづくり課なるものがぼつぼつとでき始めたのは、最近のことだろうと思います。土地区画整理事業や公共建築などの箱物からソフトウェアの視点を取り入れた行政のあり方へとまずはいえるが、おそらくどこも手探り状態で何をすべきかはまだ見えてないのでしょう。一般論からいえば地域ブランドの確立が目的であるとすれば、各自治体によってやることは異なってくるのでしょう。ウェブ2.0時代の地域SNSをやったのは熊本県八代市だったと思いますが、まさにソフトの試みであるとはいえ、しかしそれは民間でもできるし、これまで地域ケーブルTVがやってきたことをウェブでやっているだけではないのかとか、旧中心部の高齢層(ウェブよりも旧メディアに親近感がある)と郊外の住民の格差をかえって拡げるだけではないのかとか、はたして産業や住環境にどれだけ貢献できるのか、いろいろとあろうかと思います。
地域経済が国民経済のなかでうまく機能していた時代も終わりつつあるのかもしれません。労働力市場においてはフリーターやニートワーキングプアなどが存在する一方、それでも外国人労働力は日本にやってきます。つまり労働力市場はすでに層状化しているわけです。この現象はヨーロッパやアメリカでは20年前から顕在化していたことです。当然ながら資本についても同じことがいえます。かつての日本は主要銀行を中心とした企業集団を形成していましたが、これが「ケイレツ」とか「閉鎖的市場」として叩かれたものです。もっとも企業コングロマシーというあり方ははもともとかつてのアメリカから輸入され、それが「ケイレツ」として日本独自の進化を遂げたのではないかと思いますが。
不動産開発などはいまや証券市場で資金を調達し、その市場はかならずしも国民経済の範疇にあるとは限らない。市場を通して渋谷における家賃収入がカリフォルニアの公務員組合の年金になったり、アメリカの住宅融資の問題が影響したり。
かつて企業買収が人目を引いたとき、企業は誰のためのものかという話題がありました。経営者のものか、株主のものか、そこで働く人のものなのか。これからはまちもそうなっていくのかもしれません。事業主体のものか、投資家のものか、そこで暮らす人のものなのか。どれか一つの対象しか見ない議論は、ナイーブな議論なのかもしれません。


[:W360]