ノイトラ、シニフィアンにも着目せよ

Sylvia Lavin, FORM FOLLOWS LIBIDO Architecture and Richard Neutra in a Psychoanalytic Culture, The MIT Press, 2004








新宿ゴールデン街フジタゼミ@クレマスターで「戦後アメリカの住宅と精神分析文化」と題したギグを行う。といっても実際は上記著作を主としてノイトラについて話す。当書のフリンジな部分からいくつか。
マイケル・ヘイズの『ポストヒューマニズムの建築』もそうだったが、当書も冒頭にジークフリート・ギーディオンの『空間・時間・建築』のなかの有名なテーゼに対する批評がある。ヘンリー・ラッセル=ヒッチコック/コーリン・ロウ以降、あるいはヒッチコック/ロウのおかげで、ギーディオンはアメリカの建築アカデミズムにとってトラウマであり続けているのだろうか。
むかしコロミーナの『マスメディアとしての近代建築』の翻訳をしていたとき、プライベート/パブリックの向こうにある親密性という議論を、ふぅーんと思いながらそのまま訳した。あれはE.T.ホールやドナルド・ウィニコットを意識した議論だったのか。
最近のアメリカのこの手の著作のお約束として、最後は胸キュンとなる一節で括られている。その少し手前の部分から。
エコロジー運動は自然への愛から生れたのではなく、そうではなく汚染への恐怖から生れた。ナガサキののち、人間の文化と自然の力のあいだの相互作用を、放射能汚染は議論の余地なく如実に示したのだった」。
ところで「ノイトラはフランク・ロイド・ライトに師事したあと、オットー・ランクに影響を受けたわけだよね。アナグラムを見ると面白いのではないのかな」とは、藤田博史氏の言葉。


FRANK LLOYD WRIGHT      OTTO RANK      RICHARD NEUTRA

FRANK  RANK  R N-TRA


すっぽり入っていますね。こういうのを無意識における反復というのか。誰が誰に影響を与えたかを見る場合、まず影響を与えた人の思想とか人柄(シニフィエ)に目が行きますが、
シニフィアンにも着目せよ。


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