先週のイージス艦きりしま(艦長が高校時代の同級生だったので)に続き、今週末も「横浜に来い」と言われ、ふたたび横浜に行く。今回は第53回ベネチア・ビエンナーレの報告会。横浜は開港150周年博覧会にくわえ、花火大会の週末とあり、結構な賑わい。
報告会によると、第53回ベネチア・ビエンナーレ村上隆に代表されるアート・マーケットの市場至上主義を排除し、いわばミニマリズムへの回帰を示した、という。またイタリアの作家一人を残して「かわいい」系も姿を消したという。村上隆について述べさせてもらえば、その作品や「スーパーフラット」なる概念は別として、著書『芸術起業論』の前半で筋の通ったアカデミズム批判を展開しており、共感できる部分もなくはなかった。
もっとも今回のベネチア・ビエンナーレのこうした傾向は、総合監督にダニエル・バーンバウムを起用した時点で予想されたことであろう。バーンバウムは1963年スウェーデン生まれで、フランクフルトのシュテーデル・シューレ校長を努める(艦長とか校長とか、皆さん凄いなぁ。建築家は一生ペーペーで、「長」がつくことはないでちょう/寒いか)。
いずれにせよ、今回のこの傾向が市場至上主義に対する単なる意思表示なのか、それとも新しい時代を予告するものであるかは、見極める必要があるかもしれない。「ミニマリズム」もいまやひとつのアイコンであり、そのイコノグラフィーやイコノロジーがあるだろうし、また市場至上主義と市場主義も、同じものではないだろうからである。