東京でも熱帯驟雨のような雨が降るのですね。
ずいぶんむかしフロリダのインターステイト・ハイウェイを走っていて、驟雨に見舞われたときのことを思い出します。それは夏の夕暮れ時の、何の前触れもない、文字通りとつぜんの豪雨でした。
路肩に寄せようにも道路はおろかフロントガラスの先10センチも見えず、さらにワイパーもヘッドライトもまったく役に立たず、雨というよりまるで水のなかを走っているよう。万一後続車がいるとすれば止めるわけにもいかず、仕方がないのでそのままアクセルを踏み続けます。時速60マイル、ハイドロプレーニング上の疾走、視界はゼロ。
しばらく走るとまるで何事もなかったようにぴたっと雨が止み、暗い青空が眼前に広がります。
巨大な積乱雲の下でも走っていたのか。
あのとき道が少しでもカーブしていたら。