チェコセンターでの「チェコ建築としてのキュビズム 1911-1914 - プラハで生まれた奇想天外な建築様式」展関連企画、建築史家の藤森照信氏のレクチャー「チェコキュビスムの建築」にちぇこっとお邪魔する。事前宣伝はあまりなかったのですが、女性ファンが多かったですねぇ。展覧会の方ははヤナーク、ゴチャール、ホホルという三人のチェコキュビズム建築家の作品を中心としたもの。以下は個人的な備忘録。


ヤン・レツル、ホイエルシュタイン、レーモンドといった日本で活躍したチェコ人建築家から話を起こし(意外と多いですね、日本で活躍したチェコ人建築家)、ヨージェ・プレチニクの独特のアールヌーボー建築を一瞥し、その後登場するチェコキュビズム建築を解説、チェコキュビズムの特色として独特の斜線の使用について述べられる。さらにキュビズム後の建築の一つとしてアドルフ・ロースミュラー邸が、突発的な過激派による作品というチェコ建築の特色の例として示される(ロースはモラビア出身)。最後にふたたびヤン・レツル、ホイエルシュタイン、レーモンドの人物と建築に話を戻してまとめ、といったところでしょうか。
ところでこの展覧会の背景になっている1911-14年のチェコはまだオーストリ・ハンガリー帝国の地方扱いで、「チェコ建築としての」というタイトルには、そうであってもチェコ文化の特色として、という意図が込められているのかもしれません。
藤森氏は、チェコでは精密機械産業が発展しつつあり、そうした産業から当時のチェコの人たちの向上心のようなものがあったのではないか、チェコキュビズムはその「建築的証拠」ではないか、と仮説的な結論を提示。


カレル・タイゲのアンソロジーのなかにも、戦前チェコはヨーロッパの重工業の中心の一つであったといったようなことが書いてあったと記憶します。その後のコンストラクティビズムアバンギャルドに続いていく話です。