そんなタフーリに「計画としての歴史」という論文があるという。アンドリュー・リーチのマンフレッド・タフーリ論第二部最終章(実質的な最終章)のタイトルは「計画の独自性(The Solitude of the Project)」と名づけられ、ここで著者はドイツの美術史家ボリス・グロイスを引きながら、「計画の孤独(The Lonelines of the Project)とは」「芸術家や哲学者や作家や科学者といったものたちの実践が根本的に実存的であり、彼らの計画(project)が日々の生活という外的条件に対して持つ関係において、そうである」と論じる。Pro=jectがつねに前方での投射であるという点で、「芸術家や哲学者や作家や科学者」「の実践」に限らず、計画はそうであろう。本書のタイトル『Choosing History』もまた、学生時代のタフーリが当時のミケランジェロ展を見て義憤にかられて「歴史を選択した」という本人の言葉から来ているとともに、「選択」という言葉が持つ「実存的な」ニュアンスがそこにある。



Andrew Leach, Manfredo Tafuri Choosing History , A&S/books, 2009